──土曜日──
「麻帆ちゃんこっちこっちー」
キョロキョロしていると、遠くから実貴さんが大きく手を振っているのが見えた。
「実貴さん、遅れてすみません」
あたしは実貴さんの元へ駆け寄り謝った。
「遅れてないよー?あたしが約束の時間よりかなり早く来ちゃっただけだもん」
ニコッと笑う実貴さんの笑顔は、まるで天使のようだった。
「あの、実貴さん」
「ん?」
「今日はどこに行くんですか?」
昨日、『じゃあ、土曜日の10時に○×噴水前で待ち合わせねっ』としか交わさなかったし…行く場所とか聞いてないよね?
「んー言わないとダメ?」
「いや…言いたくなければ言わなくていいですっ」
「じゃあ…秘密ね♪」


