でも…でも…な?
「信じたいけど…まだ不安があるんだ」
「え?」
「シゲさんが目覚めなかったら…甲子園のキャッチャー、俺かもしれない」
決勝の時の監督の言葉を聞く限りでは、3年生のキャッチャーは…出さないと思う。
だからシゲさん以外のキャッチャーは…俺しかいない。
「す…すごいじゃんっ、荒ちゃん!キャッチャーだなんてっ」
電話口の麻帆は、一気に声をあげた。
「それって、甲子園で試合するんだよね!?花龍のキャッチャーになるんだよねっ?」
…どうしてだろう?
「…んで…だよ」
「え?」
「なんで…そんなに喜べんだよ」
せっかく麻帆が喜んでくれているのに、素直に喜べない。


