「…シゲさん」


俺は呆然としていた。いつの間にか持っていた自分の荷物も落としていた。


気づいた時には救急車が来ていて救助隊員がシゲさんをタンカに乗せていた。


「シゲさんッ!」


俺は慌てて追いかけた。だけど永松に止められた。


「行くな」


「何でだよっ!?俺…心配で心配でシゲさんの傍にいたくて…」


「見てみろ、みんな同じだ」


俺は辺りを見回した。みんな、シゲさんの傍に行きたがっていた。シゲさんの心配をしていたんだ。


「お前が悲しいのはわかる。だけど、今は自分勝手な行動は出来ない」


どうして…どうしてだよ。目の前にいるシゲさんに近づけないんだよ。


どうして…