────…バチンッ


「あ…」


「ん?どうした麻帆」


「あ、あの…弦が切れちゃいました。だから付けてきますっ」


栞先輩が『のたのたすんじゃないよ』と言いあたしは頭を下げた。


放課後、いつものように自分の竹刀で練習をしていた時だった。弦が痛々しい音をあげ、バチン…と切れた。


あたしは武道館の隅に行き、竹刀を応急処置した。そしてふと手を止めた。


────…なんだろう。


この嫌な予感はなんだろう。この胸騒ぎは何だろう?この竹刀の弦が切れてから…なぜか落ち着かない。


愛用していた竹刀の弦が切れちゃったからショックだったかな?いや、そんなわけない。


…じゃあ…何?



────…まさか荒ちゃんに何かあった?