ハラハラする俺もいる一方で、シゲさんなら打つと信じている俺もいる。
シゲさんが構える。俺は唾を飲み込む。
カキーン…
白球がぐんぐんと青空へ消えていく。眩しくて見えないや…そう思った瞬間、
「キャーッ!!!!」
「っしゃぁぁっ!」
花龍スタンドから歓声が沸き起こった。なんとシゲさんは…特大ホームランを打ったのだ。
「永松ー!!やったなやったなっ」
俺は永松に飛び込んだ。永松は『お前が打ったんじゃないだろ』と言い放った。
俺が打った球じゃなくても嬉しいんだ。今日の試合に1度も出れなくても嬉しいんだ。
そしてシゲさんを出迎えた花龍野球部だった。