「甲子園出場ならなかったら、夏は終わりだ。それだけは覚えておけ」
そう言ってベンチに座った監督。
「っしゃっ!」
小さくガッツポーズをするシゲさんを見て心がホッとした。もしシゲさんの立場なら、最後の大会は…見ているだけは嫌だ。
それからの試合もヒットでチャンスが何回も来るものの、点数には繋がらなかった。
そして、いよいよ最終回が来た。9回表、1アウトを取られ2アウト2塁。
バッターは…3番、シゲさん。
「ここでホームランでも出れば甲子園出場に近づくよなっ?」
後輩の中にそう呟く奴もいた。でも、そんな簡単にホームランも出ない。努力が発揮されれば別だけど。
「ストラーイクッ」
審判の判定が響く。