思わず体を乗り出して目でボールを追いかけたが、シゲさんがナイスキャッチした。ホッと胸を撫で下ろした。
「茂山」
ベンチに帰ってきたシゲさんを呼んだ監督。2人はベンチの隅へ移動した。
「───…っ」
「…んだ」
2人の言葉は最初は上手く聞き取れないが、後半は聞こえてきた。
「俺、やります!キャッチャーします」
「無理だ。次の回が終われば荒嶋と交代を…」
「俺に守らせてください!お願いしますっ」
深く頭を下げるシゲさんを見て、自然と動いていた俺の体。
「俺からもお願いします!!シゲさんに守って欲しいですっ」
甲子園に行くぞ!と誓ったシゲさん。好きな人に気持ちを伝えると言ったシゲさん。
絶対にシゲさんじゃなきゃダメなんだ。


