「打てよー打てよー打て打てよ!お前が打たなきゃ誰が打つー」
試合は4回表で1−1の同点。攻撃は花龍、バッターはセンターのナオさん。
カキーンッ
ナオさんは左中間にヒット。花龍は一気に大歓声を沸き起こした。
「バッター、キャッチャー茂山くん」
バットを支えにしていたシゲさんが立ち上がった。同時に俺は目をこすった。
…気のせいだったか?一瞬だけシゲさんがフラついて見えたのは。
だけどシゲさんは大丈夫だった。バットを構える姿がとても勇敢だったから。
そう安心していると
「茂山は…水分補給が必要だな」
と監督が深刻そうに呟いた。そうか…さすが監督だなと感心した。


