1年前の決勝の試合、シゲさんはキャッチャーをしていたんだ。それを自分のせいだと思っている。
「また負けたらどうしようとか、またあんな試合したら…とかさ。…普段はミスとか笑ってばっかりいるけど、本当は笑えねぇんだ」
「シ…ゲさん」
「みんなで甲子園行きたい。ただそれだけなんだけど、な」
シゲさんは…1年前の約束を固くでも温かく守ってきた。だから…キャッチャーはシゲさんしかいないですよ。
「…シゲさんらしくないですよ?花龍のキャッチャーはシゲさんだけです。シゲさんしかいないんですよ」
俺はシゲさんの代わりなんて…無理だ。今はまだ、追いついていないから。
「シゲさんは同じ過ちを2度もしないです。言いきれますっ!」


