「プレイボールッ!」
初戦から順調な出だしだった。守備も攻撃も花龍らしいプレーが出来た。
永松は、あの日の弱音はどこにいったんだと思うくらいの投げっぷりで、誰もが目を見開いた。
それからも、順調に勝ち上がっていた花龍だった。
────…そして、
「明日はいよいよ決勝だ」
集合と同時に監督が言った。俺は喉がごくりとなった。
「決勝と意識しないように、今日はゆっくり過ごすように。余計なことは考えるな。以上」
俺はまだベンチで、守備では試合には出ていない。代打では打たせてもらったけど…
この野球の緊張感は、誰にでも味わえるものじゃないと思った。


