大好きな君にエールを






────…そして、次の日に開会式が行われた。俺達は緊張をしながら行進した。



『必ず甲子園に行きます』



ふと、先輩達と約束を交わした1年前の記憶が蘇ってきた。あの時は自分がどれだけ幼かったか、今わかる気がする。


「優勝旗返還、昨年度優勝…」


進行が学校の名を呼ぶ。俺は列の隙間から、優勝旗を抱えたキャプテンらしき人の背中を見つめた。


本当は昨年、俺達の手の中にあったはずの…優勝旗。すぐそばまで来ていたのに、逃してしまった優勝旗。


今年こそは俺達の優勝旗にする。



空は爽快に晴れていた。吸い込まれそうな青空に迎えられながら、俺達の夏が幕を開けた。