「荒嶋、ボール受けてくれ」
さっきの話は無かったことになっているんだろう。永松がグローブを片手に持ち、言った。俺は鞄からグローブを出して構えた。
永松がいつもと変わらないフォームでボールを投げる。いつもと違うのは永松が制服姿だったこと。
バンッ
俺のグローブに永松のボールが吸い込まれた。いつも思う、永松のボールは生きている…と。
「…緊張しないわけねーだろ」
永松がボソッと呟いた。さっきの質問の返事だろうか?
「今の俺のボール…見ただろ?」
やっぱり永松もわかってたんだ。俺も気づいたんだ。永松のボールが…震えてたこと。
「エースだなんて…そんな番号背負えるほど俺はすごくねぇよ」


