そしてそれからの練習は好調だった。俺はシゲさんのキャッチャー姿を勉強しながら野球に励んだ。
「荒嶋、お前は茂山がヘマしたら出ることになるからな。無いと思うが、一応心構えはしておけ」
監督から言われたまさかの言葉。シゲさんの次を継ぐキャッチャーになるかもしれないんだ。
「へへっ。そう簡単には譲らねーからな、荒嶋っ」
練習モードのシゲさんがはにかんで俺に言った。
「シゲさん、わかってますよー」
確かにシゲさんには叶いっこないんだ。技術も野球センスも全然違う。1年の差ってこんなにあるものかと思うくらいだ。
「でも、もし交代になったら…そん時は頼む」
シゲさんにしてはらしくない台詞だった。だけど俺は『それはないっスよ』と返した。


