「始めっ!」


とうとう始まった試合。あたしの目の前で先輩が戦っている。次はあたしの番。そう思うと変なプレッシャーが沸き上がってきた。


「震えるな」


栞先輩が穏やかな目で見てきた。あたしは深呼吸をした。


「勝者、海宮高校」


あたしは小さく落胆した。勝ったのは相手…先輩は負けた。


「あさぽん、頑張れっ」


どこからか藍の声援が聞こえた。あたしは再び深呼吸をして立ち上がった。


「蹲踞」


荒ちゃん…あたし勝つから。


「────…始めっ」



勝って…大好きな君に会いに行くよ。