「麻帆、髪長いから部活ん時、髪結ぶよな?」
「うん。結ぶよ」
「その結ぶ時のゴムとして使ってくんねぇか?そしたら、麻帆と繋がっていられる気がするんだ」
どこにでもある普通の黒ゴム。
だけど、麻帆の髪にこの黒ゴムが結んであれば、俺が傍にいると思えるかもしれない。
試合とかでも、観客席よりも近い場所に俺がいるって思ってほしい。
それに……男避けにもなるかもしんないし?なんてな。
「ありがとう、荒ちゃんっ」
「ん。あ、そのハートの飾りは取り外し出来るから、練習や試合で付けるなって言われたら、ハートだけ外して使えば……」
言い終わらなかった。
だって、麻帆が俺の胸に飛び込んできたんだから。


