「えへへ、荒ちゃんよりも先に言っちゃってごめんねーっ」
「なっ……俺が言おうとしたのわかったてたの?」
「なんとなくね。だから、先に言わせてもらいましたー♪」
勝ったぞーと小さくガッツポーズをする麻帆。でも、記念日覚えてたんだな……嬉しいし。
「でもね荒ちゃん、あたし……何も用意してないの。頭には合宿のことしかなくて、買いに行く暇もなくて……」
「よかった。俺、麻帆に1つだけ勝った!」
俺は俯く麻帆の頭を軽く叩きながら喜んだ。麻帆は、状況をよくわかってない顔をしている。
俺は、朝からポケットに入れていたあるモノを取り出して、麻帆の目の前に出した。
「はいっ、記念日おめでとう」


