3回呼び出し音が鳴ったときだった。


「もしもし?」


ちょっと不機嫌そうな声が耳元から聞こえた。


「あ…あの…。」


「ごめん。ちょっと待って。」


(なんだろ…嫌な予感がする…。すごい怒ってるかな?いや、普通怒るよね…。)


あたしはネガティブにしか考えられなかった。


「ごめん。何?」


(やっぱり怒ってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ)


「あ、あたしこの前は…」


「待って。俺が言う。」


「えっ?」


「ごめん。」


(何で優介君が謝るの?あたしがいけないのに…)



「勝手に“礼”とか呼び捨てにして、気持ち考えなくてごめん。」


「ちっ、違う!」


「えっ?」


どうしよう。今まで思っていたことが…涙が止まんないよ…


「あたしがいけないの!

ほんとは優介君に…

ズッ。“礼”っていわ…

言われてぇ、ヒッ。

うれっ…うれしかった

のッ。」


もうあたしの涙は止まらなかった。