隣でキャラクターのイラストがついたカップを2つ並べて真剣に吟味しているナナミを見て、私はその2つともを手に取った。



「ちょっと、まだ見てるのに!」



「両方とも買ってあげるよ。今日はナナミの失恋祝いなんでしょ?」



私はそうぶっきらぼうに言って、さっさと会計をすませてしまう。



私は、私よりもずっと強いナナミを慰めたり、励ましたりできる立場じゃない。



だから、これが精一杯の今の気持ちなんだ。



「はい」



お店を出てから2つのカップを渡すと、ナナミは言葉をつまらせ、ほんのりと赤くなった目で笑った。