「理恵……?」





「結婚…しなよ。
お母さんが好きな人なら…いいよ?」


お母さん…ごめんね?
今まで…。


「いいの…?」


大きな目から涙が落ちていた。


「うん……。」


私も涙が落ちた。


「理恵ぇ…。」


何年ぶりかに母親の温もりを感じた。


抱きしめられた肩と背中が、ほんのりと温かくて、いい匂いがした。


これが、お母さんの匂い。