その花はブルーの花びらを持つ小さくて可愛い花だった。






“私を忘れないで下さい”







小さくて儚い姿にぴったりのその花言葉に俺は心を奪われた。









―私を忘れないで下さい。









忘れたいのに忘れられない。





その花言葉は俺にとっての伊織そのものだ。


俺は忘れな草を見る度にいつも伊織の顔を思い出してた。









今ここに。


伊織が来てくれたら、もう二度と離さない。


力の限り抱きしめて大声で叫ぶよ。



『伊織が好きだ』








って。




俺は伊織を思い出になんて絶対にしたくない。




バカだって言われても、後ろ指さされてもいい。
今の自分の気持ちにウソはつきたくない。