アイツが好きだと。
今俺が欲しいと思っているのは。
イブの身代わりなんかじゃなく、高宮伊織そのものなんだと気づいた時にはもう遅かった。
『桐谷慎、いろいろありがとう。』
彼女は藤堂の元へ行くと言い。
俺は人生で2度目の恋にあっさり玉砕した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして…
そんな寸止め事件から数時間後。
俺はいつものように会社にいた。
高宮も少し眠そうにしながらいつものようにデスクに座っていた。
変わらない日常。
変わらない時間。
俺は例の水着の件で会議三昧。
高宮は広報部の資料作りに追われてる。
俺たちの間にあんなことがあったって。
世間は何も変わらず忙しそうに時を刻んでいく。
変わらない日常。
その中で変わったことがあるとすれば…。
いつも高宮の隣にいる藤堂がいなかったことだけ。