ま…、はっきり言えば高宮はかわいくない。




いや。
顔はもちろん可愛いよ?
イブにそっくりなんだし。

高宮伊織というオンナは、とにかく性格がかわいくない。






俺のコト結構気に入ってるクセに“大嫌い”って言うし。


何かと言えば“しゅーちゃん”しか言わないし。





ビービー泣いてこの世の終わりかのように落ち込むクセに、す~ぐ立ち直るし。


本当はホワイティなピュアオンナのクセしてキツい女ぶって、ズケズケ物を言うし。





どんなに俺がフェロモン振り撒いてもオチないし。


挙げ句の果てにはSEXまで寸止めされるし。






極めつけに俺の呼び方は“桐谷慎”だぞ?

なんでフルネームなんだ。意味がわからない。










キレイで

はかなくて、

誰かが守ってあげなきゃ咲かない温室のピンクのバラがイブだとしたら。







高宮は荒川の土手に咲くタンポポだな。





踏まれても

ちぎられても

何度でも立ち上がって。

自分の為に、そして周りの誰かの為に強くあろうと願うタンポポ。






俺が惚れた高宮伊織というオンナは人間臭くて、強くて逞しいオンナだった。