イブが死んで10年たっても、俺はイブを忘れられられずにいた。


イブを過去のきれいな思い出に変えられない。


写真を見ては思い出し、違うオンナを抱いてはアイツのぬくもりを思い出す。






もう俺は恋の脱け殻だな。

多分この先、女に惚れることもなければ執着することもないんだろう。







そう…諦めていた時。

小さな会議室で高宮伊織に出会った。






支所から転勤になったヤツがいるから、顔合わせをしろと言われ。





「え~。俺、めんどくさい。」


「何言ってんですか!!部長がいなきゃ話が始まらないじゃないですか!!」


「え~。お前と田中課長で上手く回してよ~。」


「……ダメです!!!!!!!」







俺はと言えばやる気はゼロで。
藤堂にクドクド言われながら、渋々と席について。



さっさと終わらせて帰ろうと思っていたのに。







「今日からこちらでお世話になることになりました高宮伊織です。
不馴れな点があるかもしれませんがよろしくご指導下さい。」







そう言って顔を上げた高宮の顔を見て。

俺は思わず大声をあげそうになった。