君を想うと~triangle love~

大丈夫、今ならまだ引き返せる。
これ以上は危ない。




「…あ、理央が呼んでるからそろそろ切るね。」





自分の理性を総動員して呼ばれてもないのに嘘をつく。

この電話を切れば切ない思い出もあの頃の気持ちも止められる。





そう…思ったのに。







「あ~、ゴメン。長電話になっちゃったな。
じゃー切るわ。
また明日な、伊織!!!!!」






『じゃー切るわ。
また明日な、伊織。』







チクン。








切れば終わると思っていたのにしゅーちゃんはそうはさせてくれないみたいだ。



あれはしゅーちゃんの電話を切る前の決まり文句。



最後に優しく響くしゅーちゃんの声が大好きだった。







プッ。







電話をきった後、私は枕を抱きしめてゴロンと仰向けに寝ころぶ。







コンコン




軽くノックの音が聞こえて来た後。





「あたし呼んだ覚えなんてないけど??」





呆れたように笑う理央が部屋に顔を出した。