ま。
そんなこんなで親父が買い与えてくれた3LDKのマンションで俺は何の不自由もなく、スクスクと育つ。



幼稚園のクジラ組さんでは母親ユズリのこの美貌のおかげでモテモテだったし。


幼稚園の影のボスとしてみんなを操ってたし。


俺の毎日は何の不満も、何の寂しさも感じなかった。








子どもながらにこんな毎日がずっと続くんだな…と思っていたある日の休日。






俺達の隣の部屋にイブの家族が引っ越してきた。











「こんにちは~!!!」








一人でお留守番をしているときにインターフォンが鳴って。


しょーがないから“はーい”と玄関を開けると




「あら~。イケメンのボクちゃんだわね~!!」








目の前には少し小太りでエプロン姿の。

いかにも“庶民のお母さん”みたいな見たこともないオバチャンが立っていた。









―げっ。なんだよ、コイツ。









げんなりしながら




「何かごようですか?」




と尋ねると






「ま~!!受け答えもしっかりしてるわね~!!」








とオバチャンは手を叩いて俺を褒め称えた。