ついばむようなキスを終えると桐谷慎は私を正面から抱きしめた。







私の肩に顎を置いて。
桐谷慎は寂しそうに呟く。







「高宮。」

「…?」

「明日…。
やっぱり羽田に行くの??」










桐谷慎は私の顔は一切見ずに。

私をきつくきつく抱きしめながら諦めたように耳元で囁く。













「………うん。」











実は…。

イブの話を聞いて。
私は明日…しゅーちゃんの側に。


羽田空港へ行くと決めていた。








桐谷慎と抱き合ったのに、最後の最後で1つになれなかった。






それが…。
全ての答えなんだと思ったの。













「…そっか…。」










そう言うと。

桐谷慎は私のおでこにキスをした。









「頑張れよ。」

「……うん。」









私たちの、このあやふやな関係はここで終わる。











それだけは…私も桐谷慎もわかっていた。











私にはしゅーちゃん。

桐谷慎にはイブ。











お互いに忘れられない人がいる。

忘れられない恋がある。












私たちは迷路の中で出会って、迷路の中で惹かれあった。








だけどどんなに誤魔化しても出口は1つしかない。








この気持ちは…しゅーちゃんしか埋められない。




この気持ちの出口はイブしかない。









それに気づかないフリは…もう出来ない。