だけど…









その後、アハハハと大笑いすると






「高宮、やっぱりサイコー!!!!!!!」







と叫んで、また私を抱きしめ返す。






「ヤバイな。藤堂にやっぱり渡したくない。」




そう言って。

桐谷慎は私の唇に触れるだけのキスをした。












チュッ…チュッ…









リビングに響くリップ音。









桐谷慎も私も深いキスはお互いに仕掛けなかった。

角度を変えながらキスは続けているけど、その先にはお互いに進まない。










わかっているから。











私の気持ちも

彼の心も

決して叶うことのない恋の迷路にハマってもう抜け出せない所にきている。









私たちのこの気持ちが恋なのか同情なのか。
お互いわからずにいるんだもの。











そんな中途半端な気持ちが手にとるようにわかるから。







お互い怖くて進めない。








愛しいと思う気持ちは同じなのに、この行為が愛情が溢れてのことなのか。
空しい傷の舐め合いなのか。


それすらよくわからない。











だけど……

これだけはお互いわかってたの。