「高宮。」

「…はい。」

「俺は…その感情は人間なら当たり前だと思うよ。」







そう言って。

桐谷慎はアルバムの背表紙を優しく触る。








「高宮。
お前が苦しんでるのと同じように…。俺も出口のない想いに縛られてる。」



「……え…??」



「だから…わかる。

自分の気持ちがどこに向かってるのかわからない不安。
今、感じてる感情の理由すらわからない…。
そんな感覚もやるせなさも。」







いつも傲慢でワガママで。


ピリピリした雰囲気を身に纏いながら、誰にも隙は見せずに仕事をする桐谷慎。




そんな隙のないセクシーな大人の男、桐谷慎。








そんな男が。

力なく呟く。







「安心しろ。
狂ってるのは…。俺の方だよ、高宮。」









そう言って。

彼は目の前のアルバムに手をかける。








ゆっくりと開けたそのアルバムの先には…。







高校時代の桐谷慎と1人の女の子が制服姿で写っていた。












「………っ!!!????」








しかし、私はその写真を見て絶句する。






何でかって??







だって…

そこに写っていたのは…









「……わたし……???!!!」












その写真に写っていた女の子は。






恐ろしいほど私とそっくりな顔をした…1人の女の子だった。