「ふっ…うっ……」





忘れたい。

忘れたいよ、こんなキモチ。



こんな…出口のない想いから抜け出したい。









なのに私は…
この期に及んで嫉妬してるの。


しゅーちゃんの熱い吐息とあの熱いカラダをあの人が知ってるかと思うと。

こうしている今も2人が抱き合っているんじゃないかと思うと…。


身体中の血が沸騰して逆流しそうだ。








忘れたい。

忘れたいよ、こんな苦しいキモチ。









苦しいだけの、この恋から抜け出したい。








「うっ……ひっ………。」








後から後からとめどなく溢れる後悔と涙。








脳裏に浮かぶのは笑顔のしゅーちゃんと、ひどく傷ついた顔をした桐谷慎の後ろ姿。








桐谷慎。


見えない優しさでいつも私を見守ってくれた貴方を愛しいと。

そんなあなたを大切にしたいと思うのに。




貴方が好きだと。

あなたを愛していると言ったのに。






あなたを傷つけることしかできない私はなんてサイテーな女なんだろう。





私はアンタには相応しくない。

こんなズルくて浅ましい女は…相応しくないよ。











その日。

私は一睡もすることができず、シーツの上を涙で濡らしていた。






桐谷慎も…。

あの後、一度も寝室に入ることはなかった。