「知ってるよ。」




私の告白を聞いた後、桐谷慎はクスリと微笑む。




「…高宮はバカだね。
“俺が欲しい”なんて言ったらこの先は同意の上になっちゃうよ??」





桐谷慎はハァ~とため息をつくと私を掴んでいる手をゆっくり離した。







「私のコト…好き?」

「う~ん。
可愛い部下から奪ってやりたいくらいにはね。」





「しゅーちゃんのコト…何にも聞かないけど…。」

「あぁ~。
聞いて気持ちのいい話じゃないし、キョーミない。」

「はあっ?」

「俺と高宮の気持ちの間に、藤堂は関係ないでしょ?
聞いてもしょーがない。」






まったく、この人は。

桐谷慎は変な所でクールだ。







「しゅーちゃんのこと、忘れさせてくれる?」

「高宮がその気ならね。」

「こんな私でいいの?」






長い長い静かな問答の中で、そう聞くと。

桐谷慎は私の髪をサラサラと右手ですくと、小さな髪の束を掴んでチュッとリップ音を鳴らす。







「言ったでしょ?
高宮が望むならどこまでも一緒に堕ちてやるって。

純粋な高宮も。
2人の男を欲しがるズルい高宮も。
藤堂を忘れる為に俺を利用してる高宮も。


…全部好きだよ。」