キッと。

しゅーちゃんは鋭い眼光で祐吾さんを睨む。




「俺はただ伊織に伝えたかっただけだ!!」


「はぁ?何を。」


「伊織が一番好きだって。
必ずお前の所に戻るからそれまで待っててくれって言いたかったんだよ!!」






そう言って。

にらみ合いを続ける二人に私の入る余地なんてどこにもない。







だけど…、だけどね。







バカな私も気づいてしまった。








「それって、都合よすぎねーか?秀人。」








私たちが歩もうとしてるのはイバラの道。


祐吾さんの一言で。
私たちが気づきたくなかった、気づかないフリをしていた真実に気づいてしまった。









「オマエと水島がこのまま結婚しても伊織ちゃんは“愛人”。

オマエが伊織ちゃんを選んで水島を捨てたとしても水島の親兄弟、友達、同僚から後ろ指さされて非難されんのは、オマエじゃない。

伊織ちゃんだぞ?」







…えっ……??







とまどう私たちを交互に見て、祐吾さんはさらに言葉を詰める。









「当然、会社の中もそうなるよ。
あらぬ噂の中心にお前はいつも伊織ちゃんをさらすことになる。」





祐吾さん……








「それでもお前は伊織ちゃんと一緒にいたいのか?
伊織ちゃんもそれでいいのか?」




そう言って。

祐吾さんはしゅーちゃんの襟元から手を離した。