「伊織、時間なんじゃない?」





コンコンとノックして理央が心配そうに部屋に入ってくる。






時計を見ると17時過ぎ。

何だかんだで私は3時間程寝ていたらしい。







「ん…。ありがと、理央。」





重たい体を持ち上げて。

ベッドから起き上がる。









“うーん”と伸びをすると



「この状況で熟睡できるアンタは大物だわ。」






理央は呆れたように笑う。






「何よ、それー!!」







思わずプッと笑うと理央はふんわりと優しい顔をして。







「負けんじゃないわよ、伊織。」








と、ガッツポーズをしながら出ていった。












「うん。

理央ありがと。」









私は理央の背中にポツリと呟いた。








私が穏やかでいられるのは理央がいるからだよ。

いつも励まして、怒ってくれる理央がいるから。





理央…。
ありがと。





私…、負けないよ。

自分から逃げずにちゃんと決着つけてくるから。








クローゼットの中から最後の勝負服を選びながら。

私はそう自分に誓った。