え…エロ魔神……。






静かなエンジン音をあげながら消えていった桐谷慎のBMW。




普通なら。

ドキンとするシチュエーション。





なのに…桐谷慎が言うとただのセクハラにしか聞こえないから笑える。









「ぶっ。」







思わず口から溢れる笑い。







しゅーちゃんも桐谷慎も好きだなんて、ふざけた自分の気持ち。

どっちつかずな自分。





私も彼女もどっちも好きだと言うしゅーちゃん。

しかも今度はお腹の中に赤ちゃんがいるというおまけ付き。






どっちつかずはお互い様。

卑怯なのもお互い様。

他人から見れば最悪なシチュエーションに最悪な二人。







だけど…こんな風に笑えるのは桐谷慎がいるから…かも。




ズルいのはわかってる。

だけど支えてくれる誰かがいる…って思うだけで心が軽くなる。







今私がまだ笑えるのは桐谷慎がいるからだ。







そう…思った。