桐谷慎は何も言わずにじっと私の目を見つめる。






「高宮。
今夜12時、俺の部屋に来て。」


「……えっ……」


「意味…わかるでしょ?
忘れさせてあげるよ、藤堂を。」






桐谷慎は二ッと笑うと優しく手を離す。







「好きだよ、高宮。」








そう言って。

私を降ろすと桐谷慎は助手席の扉を閉めて。

私にバイバイしながら車で会社へと消えていった……。