「え…っ、ちょっと!!!」




私にはまだ仕事が残ってんのにー!!!!!!





「いーからいーから。」






焦る私と悪魔で呑気な桐谷慎。






桐谷慎がグイグイと腕を引っ張って連れて来たのは地下にある駐車場。



会社でもVipしか使えない駐車場にはウン百万以上する外車や高級車がズラーリ。






噂には聞いてたけど…この眺めはスゴい。







「はい、どうぞ。」






桐谷慎はイヤらしいフェロモンスマイルと共に助手席の扉を開ける。







「こ…この車…」








目の前にある白い車を見て私のお目々は点になる。









「うん。BMだね~。
お金余ってたから買っちゃった♪」


「はぁっ!?」







無邪気に微笑む桐谷慎。



百万以上もするBMWを“買っちゃった”って!!

どんな金銭感覚してんのよ、この男!!!!!!









ジトーッとした目で見つめると桐谷慎はフフッと笑って。







「一応、高給取りだからね。」







と、私の頭をポンポン叩いた。








そっか。

ついつい忘れてしまうけどこの人、ただのエロ魔神じゃなくてエリートだった…。



こんな大手の部長だもん。
そりゃ貰えるモンは貰ってるよね…。











妙に納得してしまっていると。





「ほら、さっさと乗る!!!!」






と、思いっきり背中を押されて倒れこむ形で助手席に乗せられ扉を閉められる。



完っ全に拉致準備は整えられている。





だけど…




ソファーは白い皮張りでフカフカしていて。

“高級車です!!”って雰囲気がプンプンしてる。







「じゃ…行きますか。」







桐谷慎はそう言って微笑むと。

エンジンをかけて車を発進させた。