「む、無理!!」

「大丈夫。俺、今日車で来てるから家まで送るよ。」



焦る私と余裕の部長。

端から見たらさぞかし面白いに違いない。





「だ、ダメです!!!」

「なんで。」

「だって部長は今日もあの水着のプレゼンがあるでしょ!?」






そーだよ。

昨日あんなに高熱出しながらも仕事してたのはあの水着の為でしょ?!

今帰っちゃダメじゃん!!!







キッと睨んで“アンタはそれどころじゃないでしょ?!”と訴えると。







「あー…。その件なら午前中にカタがついたから大丈夫~♪」







…へっ!?






桐谷慎はニコニコしながら話を続ける。







「SGスイミングスクールって知ってる?」

「は…はい。」







SGスイミングスクールは都内にある有名スクール。



強化選手はもちろん、国際強化選手に有名スイマーが多数在籍している。


未来のオリンピックメダリスト候補が集まる宝船…って聞いたことがあるけど……。









「もしセミオーダー式に水着を作ってくれるなら、SGの生徒全員ウチのでやりたい…ってさ。」







そう言って。

桐谷慎は満足気にそう笑った。