婚約者がいる。

俺との子どもがその子のお腹の中にいる。








頭の中ではわかってる。

俺は…伊織にはふさわしくない男だ…って。








婚約者であるアイツを裏切るコトもできない。

これから生まれてくる、小さな命を奪うことなんて絶対にできやしない。









その時点でわかってる。

俺は…アイツを幸せにはできやしない。

勝負は明らかだ。









アイツを本当に思うなら身を引くべきだ。



そんなことは100も承知。




だけど…

どうしてもアイツを諦めきれない気持ちが胸の奥でくすぶる。


どうしても捨てられない気持ちがここにある。








諦めきれない。

アイツだけは。