それから1ヶ月後。
「伊織~、帰るぞ。」
「ま、待って。しゅ~ちゃん!!!!」
俺たちはあのクリスマスの日から付き合うことになった。
準備室の扉が開いて外に出ていくと音楽室にはシャンメリータワーが準備してあって。
「カップル誕生おめでとー!!!!!!!」
部員みんなが拍手で迎えてくれた。
付き合うことになったとみんなに伝えると
「もー、鈍感が2人も揃うと進むモンも進まないし見ててイライラしたよ~!!!!」
と、一ノ瀬の声。
「「えっ!!!???」」
詳しく話を聞くと、お互いの気持ちを知らなかったのは俺たち2人だけで。
他のやつらは何となく気づいていたらしい。
…で、思いついたのが準備室閉じこめ作戦。
これでくっつかなかったら
『伊織とセンパイは両思いだから!!ほら、好きだって言いな!!
付き合っちゃいな!!!!!』
と、けしかけようと思っていたらしい。(さすがは一ノ瀬。)
ま…。
そんな恐ろしい事態を免れ自然な(?)形で付き合うコトになった俺たち。
呼び方も自然に変わって、お互いの距離もどんどん近づいていく。
友だちとしての伊織ももちろん好きだったけど…。
彼女になった伊織はホントに素直でかわいくて。
俺しか知らない笑顔や仕草を向けられるとたまらなく愛しくて。
昨日よりも今日よりも、俺の頭ん中は伊織でいっぱいになって。
ギリギリまで一緒にいるクセにまだ一緒にいたいと思ってしまう。
あの頃の俺は完璧に伊織に溺れてた。