「そこでよ!!
帰り道はセンパイが伊織を送ってって!!!!!」


「えー!?ヤだよ!!
なんで俺なんだよ!!!」


「そんなの決まってんでしょ?帰り道が一緒で同じ部活の人ってセンパイしかいないんだもん。

可愛い部員を守るためには当然のコトでしょ?」






ニコッと。


屈託のない愛らしい笑顔で微笑む一ノ瀬。

この笑顔は“姫”というあだ名にふさわしくピュアで愛らしい。







だけど。

俺は知っている。

コイツが肉食女子の先頭を切るヤツだと!!!!!!






この笑顔は脅しだ。

断った瞬間に何らかの形で血の雨が降る。





「返事は??」









不覚にも。

不覚にもビクついてしまった俺は




「よ、喜んでやらせて頂きます……。」








と、答えてしまったがばっかりに…今に至る。











でも、一ノ瀬の命令は悪いことばっかでもない。






夕暮れの帰り道。

伊織を後ろに乗っけて帰るのも、もう7日目。





俺が一緒にいるからか、伊織に対しての嫌がらせは今んとこない。



クラスでも落ち着いてると一ノ瀬も言ってた。






いつものようにシャコシャコ自転車をこいでると、俺の夏服をギュッて握って申し訳なさそうに伊織が呟く。




「ゴメンね、先輩。」

「えっ?なにが?」

「あの事件があって…理央に何か言われたんでしょ??」

「あ、あ~……。」







確かに…。

たっぷりこってりアイツの恐ろしさを知りましたよ(涙)