「高宮さん!!見つけてきたよ!!」






更衣室の扉を開けると、伊織は俺のバスタオルを肩にかけて小さく丸まって体育座りしていた。






「ほら!!制服とカバン!!」






俺の声に驚いて顔を上げるとアイツはウサギみたいに真っ赤な目をしてた。






「あ、ありがとう!!先輩…ホントにありがとう…!!」






そう言って子どもみたいに安心した、素直な笑顔を見せたくせに。

またポロリとこぼれるきれいな涙。








ドキィ~~ッ!!!!!!!








その顔を見て。
俺の心臓はわしづかみにされたようにギュウッと痛む。





えっ??

なんだ、これ。








その時は知るよしもない。
気づきもしなかった伊織への恋心。







「ほ、ほら。
早く着替えろ!!!」







あの時の俺は。
正体不明の自分の感情に戸惑いながらアイツに向かって荷物を投げる。










「ありがとう。
先輩…ありがとう。」









伊織は俺の投げた荷物をギュッと抱きしめて。

お日さまみたいに優しい笑顔で俺に笑いかけてくれた。












その事件以来。

俺の中で伊織は特別になっていたのかもしれない。







ナイスバディ子と呼ばれて注目されることが…、たまらなくイヤになりはじめていたんだ。