パッと見、クールで大人っぽい(そして変に色っぽい)伊織は



“ヤリマンだ”

とか

“セフレが10人以上いる”


だの、くだんない噂をたてられてたけど。







「見て見て!!理央!!
このクマさん可愛くない!?」


「え~っ?!アンタまた買ったの??
コレで5個目じゃん!!!!」


「い~のっ!!可愛いんだもん。ほしいんだもん。」







部室で一ノ瀬とジャレてる伊織はホントにただの女の子。


噂とはまったく違う、可愛くて素直な女の子。







「ねー、見てくださいよ、藤堂先輩!!
伊織こんなんばっかり買うんですよ!?」





グイッと一ノ瀬が差し出したのはクマのぬいぐるみがいっぱいついた、重そうな携帯。


よくよく見るとクマが5匹もついている。








「すごいな…。ケータイよりもクマの方が重そうだぞ…。」






ボソッと呆れたように呟くと。







「だって…かわいいんだもん…。」









ウルッと瞳を潤ませて。
伊織は一ノ瀬の手からクマ…、いやいや、携帯を奪い返す。








「ほらね?
大体アンタは大人っぽい外見してんだから、ラインストーンとか盛ってる感じのが合うんだってば!!!!!!!」








一ノ瀬にたしなめられてシュンとする伊織。







あの時は言わなかったけどさ。

伊織のそーいうトコ、可愛いと思ってた。

大人な外見とコドモな内面。

そのギャップに…惹かれてたのかも。