しゅーちゃんの腕をグッと掴んだまま。
「お前、10月に結婚するんだろ?
高宮に何を言う気?
一番好きなのはお前だって言うの?」
「うっ……。」
「それでコイツは救われるの?お前、その彼女とド修羅場繰り広げて別れる気あんの??」
桐谷慎は冷静にしゅーちゃんを問いただす。
「それは……。」
しゅーちゃんが言いにくそうにグッと言葉を詰まらせると。
「無理だよね~、優しい藤堂には。
長年付き合ったカノジョをアッサリ捨てるなんて。」
ニイッと笑って。
桐谷慎は獣のような目をしてこう言った。
「高宮を幸せにも不幸にもできないヤツがデカイ口叩くんじゃねぇよ。
お前、俺のコト卑怯者っていってたけどさぁ。
卑怯者はどっち??」
しゅーちゃんはうつむいたまんま桐谷慎の言葉を黙って聞いてる。
ねぇ、しゅーちゃん。
違うって言ってよ。
そんな人いないって。
伊織だけしかいないって笑ってよ……。
祈りにも似た気持ちでしゅーちゃんを見つめるけれど。
しゅーちゃんは否定も肯定もしてくれない。
私と…視線を合わせてすらくれない。
それが…真実を語っているようで。
桐谷慎が言ってることの全てがホントのコトだと認めているようで。
とても切なかった。



