だけど…。

もう終わりにする。






私にはしゅーちゃんがいる。

私を真綿でくるむように慈しみ、守ってくれる大切な人がいる。




お日さまみたいに優しくて、明るいあの人を曇らせたくはないの。







だから…今日でサヨナラ。






この気持ちにはフタをしてしまおう。

私がこの気持ちに気づかないフリをしておけば、しゅーちゃんは傷つかない。



桐谷慎は…いつも通り私に嫌みな軽口を叩くだろう。





私さえ、我慢すればいい。




芽生え始めたこの危険な恋心に気づかないフリをすればいい。





そうすれば…
いつも通り。




変わらない日常がやってくる。








「悔しいから言ってやんない。」








私は眠る桐谷慎の唇に。

初めて自分からキスをした。






「バイバイ、桐谷慎。」








そう言って。

もう一度だけ唇を合わせた後。








こっそりと逃げるように。


桐谷慎の部屋を後にした。