「ちょ…っ」



こンのエロ魔神め~!!!!
またセクハラしてっ!!!






絡めた腕を振りほどこうとすると



「ヤだ。あと10秒。」




ぎゅうっ。






腕の力が強くなる。







はあ…。
仕方ないか…。





「わかりました。
あと10秒だけですよ?」




ため息まじりに呟くと




「ふふっ。
高宮はイイ女だね。」





耳元で甘くジンジンする声で囁いて。
桐谷慎は私のほっぺに、キスをした。







は~。
最近、私はおかしい。


…っていうかマヒしてきたのかな。





散々、桐谷慎にセクハラ&パワハラを受けてるセイか


“抱きしめられるだけで済むなら、まーいっか”


と、思ってる。





連絡がないことも、会社でそっけないことも、寂しい…ってどこかで思ってる。






ま…。
ケンカ相手に元気がないと張り合いがない。






いつも自信満々で。

俺様で。

軽い口調で飄々とすり抜けて。

嫌みったらしく私に軽口を叩く。






私の天敵はそういう男。



そうじゃなきゃ張り合いがない。







だから…。
この行為に深い意味なんてない。






そう自分に言い聞かせた。