「ちょっ…やめてよ!!」




そんなこと聞いたら一人で帰れなくなるじゃないか~っ!!!!!!





ただでさえその噂話にビビってる私に向かって


「あ、そうそう。
エレベーターホールも気をつけろよ~。」




ニィッ。



フェロモンムンムンの笑顔を見せて。
桐谷慎はさらに悪魔なプレゼントを送りつけてきた。







こっ…、この悪魔~!!!!!!







「やだっ!!!やめてください!!」

「え~、なんでよ。
早く帰ればいーじゃん。
高宮さんお疲れ様でした~♪」




バイバイしながら憎たらしい笑顔を向けてくる桐谷慎。







「お疲れ様~、オバケに気をつけて帰れよ。
あ!!エレベーター待ってる時とかヤな感じだね~。」


「~~っ!!!!!」








エレベーター…。
待ってる時……。
後ろから……!!??





ギャーーーー!!!!!!!!
最悪に怖すぎる!!!!!!






「さいっあく!!!!」

「なにが~??」

「変な想像しちゃうでしょー?!
怖くて帰れないじゃない!!!!」







ダメだ。
一人であそこを帰れる気がしなくなってきた。





ハァとため息をつきながら噂の廊下を見つめると。





フワッ。







桐谷慎は後ろから私の体を抱きしめた。







「じゃー…、側にいてよ。」






耳元で。
そう懇願するような声で囁きながら。




桐谷慎は真綿でくるむように私の体を優しく優しく抱きしめた。