しばらく先輩と朽木はお互い目線を外そうとしなかったが、観念したのか泉士先輩が目線を外した。
それから「あーもう!」と言いながら朽木の頭をくしゃくしゃと掻き回した。


「ばか。悔しい。でも可愛い」


先輩が不機嫌そうな顔をしながら呟けば、朽木は嬉しそうに笑った。


(やっぱ、可愛い)


そんなことを考えていると、先輩が「わ、もうこんな時間!」と時計に目をやりながら言う。
それを聞いた朽木が「そろそろ行く?」と先輩に尋ねた。

もう帰るのか、と名残惜しく思っていると、擁一郎が「えー!」と口を挟んだ。


「どしたん?用事?」


擁一郎がそう問えば、先輩はにこりと微笑んだ。


「仕事よ」


意味深な笑みを浮かべながら、先輩は手を振り、生徒会室を後にしようとする。
その後ろを朽木がついて歩く。

扉の前に来たとき、朽木は足を止めこっちを見た。





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