“―――ドンッ”



「うわ、すみません!」

「いや、こっちこそ…」



ぶつかった拍子に、その男が落としたものを、俺は拾い上げる。



「…これ、お前の?」

「あっ、は、はい。ありがとうございますっ」



水玉の折りたたみ傘…?



どっかで見た柄だな。



………ん?



今時、持ち物に名前書くヤツなんているん…



“吉野華奈”?



アイツの傘?



見覚えがあったのも、そのせいか。



「人の傘なんか持って、何してる?」

「え…?!」



知り合い?



じゃなきゃ窃盗だな。



まぁ、面倒くさいから素直に返せば何もしないが。



「す、すみませんでしたっ!だからどうか、た、退学だけは…!!」