ハードルがあるだけいい、と綾人くんは言うけれど…もったいない気持ちになる。





また、綾人くんに“あの時”の顔をさせる結果になってしまうような気がした。



“あの時”

私はたまたま中学の陸上の大会を見に行っていた。

本当にたまたま。暇潰しだった。





その時に見たのが走り高跳び。

中学生のくせに、あんなに高いバーを跳び越えちゃうことに感動した自分がいた。もう、トラック競技には目がいかなくて、



あの狭いフィールドの空間を食い入るように見た。