問題なのはルナティアへの行き方だ。
ここで助けを待っていたら、いつになるのか見当もつかない。
それなら…自分で辿り着くしかないって思った。
でも道が分からない…
そればかり悩んでいる私を嘲笑うかのように、鳥のさえずりが響き渡っている。
「それなら僕が連れていってあげようか?ルナティアまで」
あら、とうとう喋る鳥まで現れたのかしら?
そう思って、声のする方へ目を向けると…
「…リードさん?!」
そこには、大きな岩に腰掛けてこちらに微笑むリードの姿が。
もうどこかへ行ってしまったものだと思っていた……。
「やだなあ、さっき敬称は要らないって言ったのに」
彼は私が驚いている事などお構いなしのように、わざとらしく肩を落として大きな溜め息を吐く。
あ、そういえば呼び捨てを忘れていた…それに今頃気付く私。
「申し訳ございません…リード。どうして私がルナティアまで行きたいと分かったんですか?」
心の中で考えていたはずの事を、何故言い当てられたのか。
するとリードから返ってきた答えは、驚くべきものだった。
「ああ…君、考えてた内容を全部口に出してたよ?てっきり遠回しなおねだりかと」
「…ぇえッ!?」
「止めようかとも思ってたんだけどさ、あんまり熱心に話し込んでるから…邪魔するのもいけないと思って」
まさか…あれを全部聞かれてた?!
は、恥ずかしい!
急速に体温が上がるのを感じる。
穴があったら入りたい気分とはこの事だ。
そんな私の慌て様を見てか、リードは可笑しそうに笑っている。
「クスクス…ごめん、嘘。ルナティアの方向を見ながら考え事してたから、そうじゃないかなって思っただけ」
「…へ?」
彼の急な切り替えしに、私は素っ頓狂な声を上げた。
うそ……?
じゃあ、さっきの考え事を知られた訳じゃなかったんだ。
自分が変な独り言女じゃない事が分かった以上に、その事が救いだった。
その安心から、返事と共にホッと小さな溜め息が出る。

