そこにあったのは…







死んでいるのか気絶しているだけのか、一人残らず地面に伏している10人前後の男達。



つぎはぎだらけの粗末な服装からして賊の仲間だと考えて間違いない。








そしてもう一人、


その中心に佇む金髪の青年。





服装や髪型から判断しても男性だというのは確かだと思うが、どこか女性的な優しく柔らかい雰囲気を纏っている。







なんて綺麗な人…



…こんな状況だというのに、いつの間にか青年の姿に見惚れてしまっている自分がいた。




その青年は私の視線に気が付いたのか、不意にこちらへ目線を移すと小さく微笑み掛けてくれる。


ただそれだけの行動なのに、何故か私の心はドキドキと高鳴っていた。


よく分からない気持ちだけれど、どうしてか悪い気はしない。





さっきこの湖を見た時のように…


『懐かしい』


そんな感情が沸々と沸き起こってくる。





はっきりとした証拠は無いし、これはただの気のせいかもしれない。




でも…


この人を信じたい。


そう、無条件に思えるのだ。